ペルソナはマーケティングに必須

マーケティングを進める上で、現代ではペルソナの設定が欠かせないと言われています。

今回は、ペルソナとは何を意味しているのか、利用する意義、その設定方法について解説していきます。

ペルソナ設定とは

ペルソナとは、古典劇で役者が使用する「仮面」を意味する言葉です。

S.プルーイット氏が2007年頃に上梓した「ペルソナ戦略――マーケティング、製品開発、デザインを顧客志向にする」で世界中のマーケッターに認知されるようになりました。

氏の著書の中でペルソナは「架空のユーザー像・人物モデル」という意味で定義されており、現在ではマーケティングに不可欠な要素として広く利用されています。

ペルソナ設定で明確になるターゲット像

マーケティングにおいて、重視すべき事はユーザーを理解し、ユーザーに最適な情報を届けるという事です。

つまり「ターゲット像」を深く掘り下げる事によって、ユーザーと同じ目線で考える事が可能になります。

ペルソナを設定すると言うことは、「ターゲットになるユーザー」を詳細に定義する作業であり、ターゲット像が明確になります。

ターゲットとペルソナの違い

マーケティングでよく使われる言葉で、ペルソナと似通った言葉にとして「ターゲット」があります。

ターゲットは広範囲の「ユーザー層」を想定しており、「20代、女性」「50代、男性」等、ざっくりとした定義です。

ターゲットに対しペルソナは、対象の性別、年齢から趣味、インドア派かアウトドア派か等、詳細な設定を加えたものです。以下に例を示します。

ペルソナの例

就職が決まり、4月から上京し総合商社で働いている22歳のOL。年収は300万円位。

未婚で、ワンルームのマンションで一人暮らし。勤務は月~金で土日祝が休日。休日にはコンサートや映画を見たり、ショッピングをしたりと外に出ている事が多い。

一緒に行く友人は、同じ地域から上京してきた同級生が多い。外食は休日ぐらいで、もっぱら自炊をしている。

ペルソナを設定する意義

ユーザーの視点で考える事ができる

例えば「40代男性」のようにざっくりとしたターゲットにとどめるより、さらに詳細な仕事や趣味の情報までを想定すれば、商品を使用するユーザーのイメージが喚起しやすいので、ユーザーの視点に立って考える事が可能になります。

ペルソナをしっかりと設定する事は、ユーザーのライフスタイルに沿った、ユーザーが必要とする商品を引き出すために有効に働きます。

共通の認識が持てる

ターゲットの年齢・性別、住んでいる地域が同じでも、それぞれの趣味や何に価値を見出すかによって、求めるものも変わってきます。

可能な限り詳細にわたり設定したペルソナを作成することで、同じ商品開発グループ内や、関連部門の間で、共通したターゲット像が認識できるでしょう。

企画が容易になり、作業効率をアップ

詳細に設定したペルソナを作成すれば、、一人の人物のみをターゲットに商品を企画する事が可能になります。

ターゲットの絞り込みを行えば、似通ったターゲット層の要求をも満足させやすくなります。

また、ターゲットを明確にしておけば、実際に企画を商品化する上で、作業工程の効率を高める効果も期待できます。

ペルソナを設定する方法

ペルソナについて、おおむね理解いただけたでしょうか。ここからは具体的にペルソナを設定する方法を解説します。

設定前の準備

ペルソナの設定をする前に、「理想のユーザー」を探すために、自社の顧客にアンケート、リサーチを実施します。

オンラインアンケートを実施

自社製品が「ゴルフ用品」と仮定して、「50代男性」をターゲットにした場合、ターゲット層に対しゴルフの上達のためにしている事はあるか、月にどの位の割合でラウンドしているか、どの位の金額をかけているか等、商品の設計に必要と思われる情報アンケートで集めます。

関連データを参考にする

自社内にユーザーインタビューを保管している時は、そのデータもペルソナの設計に際して、重要な役割を果たします。

社内に該当するデータがない時は、公的機関が発表している、自社製品と関連したデータなどがみつかれば、信頼できるデータとして参考になるでしょう。

さらに、インターネットの比較サイトや、SNS等でユーザーの「商品に対する評価」や「商品の使用感」をピックアップするのも、方法の一つです。

情報を分類・整理する

十分なデータが集まったら、データを分類し、余分な情報を削除し、必要な情報のみを選別していきます。

ペルソナ像を組み立てる

データの整理が終了したら、いよいよペルソナの設定を開始します。

具体的にペルソナの設定をする場合、どのような項目が考えられるでしょうか。

以下で一般的な項目を順に説明します。

ペルソナの基本情報

年齢・性別・居住地・学歴・職業・業務内容・役職・収入 等

ペルソナの人間関係

既婚・未婚・友人の数・家族構成 等

ペルソナのライフスタイル

定期購読している本・休日の過ごし方・趣味・マイカーの有無

SNS利用状況 インターネット利用状況 利用しているディバイス 等

ペルソナのパーソナリティー

価値観・性格・悩み・金銭感覚・貯蓄 等

ペルソナの設定は基本となる項目に加えて、商材やターゲットに合わせて、他の項目を随時追加する必要があります。

ペルソナを設定する目的は「理想のターゲット像」を作成する事にありますので、「ユーザーの顔」が明確に見えてくるように、詳細に設定しましょう。

ペルソナ設定の注意すべきポイント

ここから、ペルソナを設定する際に、いくつか注意するポイントについて説明します。

作成者の思い込みや主観は禁物

ペルソナの設定で、比較的ありがちな事項ですが、作成者がユーザーに対し「この人はゴルフが好きだから、アウトドア派だろう」等、自身の主観を反映させてしまう事です。

作成者の思い込みが入ってしまうと、「理想のターゲット像」とのズレが生じてきます。

 理想のユーザーを作成する

自社にとって「理想とする」人物像を作ってしまうのも、NGです。

「こんなユーザーなら、自社の製品を購入してくれるだろう」と思うのは「ユーザーの目線に合わせる」というスタンスとほど遠く、実際のユーザーの姿が見えてきません。

ペルソナはオンリーワンを作成

「理想のターゲット像」は複数あった方がいいように感じますが、実際には複数のタイプがいては、プロダクトチームの共通認識がブレてしまいます。

さらに、ペルソナを利用して販促等を行う時にも、ペルソナがうまく機能しないリスクも生じます。

そのため、ペルソナの設定においては、「一人」に絞り込んでペルソナを作成しましょう。

終わりに

今回はマーケティングにおける「ペルソナ」の重要性と、設定の方法について解説しました。ペルソナの設定は、さまざまなシーンで不可欠なスキルですので、是非チャレンジしてみて下さい。