第一次世界大戦を元に作成されたランチェスター戦略。
元は兵士の多いA軍と兵士が少ないB軍が戦うときに、同じ戦力なら人数が多いA軍が勝利するということ、B軍がA軍に勝利するための戦略を書いた物ですが、これがビジネスの世界でも通じるものがあると注目されています。
中小企業が大企業に勝つための戦略を教えてくれているランチェスター戦略。
ここでは、その中でも「ドミナント戦略」についてご紹介していきます。
ドミナント戦略の目的とは?
ランチェスター戦略の中にあるドミナント戦略とは、地域を絞って限定された地域の中で優位に立つという方法です。
自分が販売しようと思っている商品の販売エリアを限定して、限定した地域の中で多数展開していくのです。
一見、同じものを同じエリアでいくつも展開して意味があるのだろうかと思いますよね?
しかし、これが結構売り上げアップの効果が出ているのです。
代表的な例として靴の専門店「ABCマート」をご紹介しましょう。
ABCマートは、東京の新宿という地域だけでも7店舗展開しています。
この小さなエリアになぜこれだけたくさんの店を出しているのかというと、この7店舗がお互いに協力して新宿にきた人をもれなくABCマートに囲い込もうという戦略があるのです。
靴を買う目的ではなくでも、新宿を訪れた人は7店舗もあるABCマートの店舗をどこか1店舗は必ず目にすることだと思います。
始めに目にした店舗に入らなくても、歩いていたらまたABCマートの看板が目に入ることになります。
そうすると、消費者は用事がなくてもふらっとお店に入ってくれるんです。お店に客が入ることで店の中に活気が出ますし、そこで帰任った靴があれば購入してくれるかもしれません。
新宿に来た人を集客するために、わざと多数展開しているんです。
また、靴を買うことが目的で来たお客さんで、気に入った靴が見つかったのにこの店舗にサイズがなかったといったとき、店舗が近隣にあることで在庫確認と在庫の移転が簡単にできてしまうんです。
せっかく靴を買おうとしたのに、サイズがなかったので買えなかったという残念なことにならない対策もしっかり整えられています。
消費者もABCマートに行けばほしい靴が手に入ると、次の集客につなげていくことができます。
販売エリアを限定し、そこで集中してサービスを展開するというのがドミナント戦略であり、そこでエリアにおける収益を獲得するのが目的です。
どうやってドミナント戦略を実践するの?
実際にドミナント戦略で成功しているABCマートを例に挙げてご説明しましたが、具体的にドミナント戦略を実践していく手順をご紹介していきます。
どこで展開していくのか場所を限定する
ドミナント戦略は、販売地域を限定しなければなりません。どこで展開するのか、その場所が必要になります。
場所はどこという決まったものはありませんが、場所選びはドミナント戦略ではとても重要なことなのです。
販売地域を誤ってしまうと、どんなに店舗を展開しても集客は見込めないので展開する意味がありません。
なので、販売する場所を決めるときは、販売するものがこの地域の人々に需要があるのかをリサーチする必要があります。
もし、あなたがおしゃれなカフェレストランを展開したいと思っているなら、学生や若者が多い場所より年齢層が高い大人の女性や主婦が多く訪れる場所の方が需要が高いでしょう。
もし、あなたがファーストフード店を展開したいと思っているなら、年配の人が集まる所より若者が集う場所の方がいいです。
あなたが、どんなものを誰に販売しようと思っているのかをイメージして、そのイメージにこの土地が合うのかをリサーチしましょう。
また、場所が決まっても、その場所に多数の店舗やサービスを展開できる環境が必要です。
場所はいいけどここでは1店舗しか展開できないとなると、ドミナント戦略を実践することができないので、場所の選定の際にここで複数店舗展開していけるのかも頭に入れて探していきましょう。
商戦エリアに一点集中させて展開
販売エリアが決まったら、一気に展開していきます。
時間をかけずにどんどん店舗を広げていくことで、消費者の目に留まりやすく、認知度がすぐに上がっていきます。
ABCマートのように、店舗間の連携を密にし、どの店舗に行っても同じように親切丁寧な満足いく対応ができるよう教育もしっかりしていきましょう。
同じ店舗でもその店舗ならではの特典を設けることで、複数店舗来店してもらえるように仕向けたり、客のばらつきがないように店舗同士の連絡も密に取れるようにして、販売エリアに複数店舗があることを強みにしていきましょう。
ドミナント戦略の効果とは?
ドミナント戦略は市場にどんな効果をもたらしてくれるのでしょうか?
リサーチする手間が省ける
ビジネスの世界では、商品を売り上げるために販売エリアのリサーチは欠かせません。その地域の年齢層や環境などで売れ行きは左右されます。
しかし、販売エリアを限定しているため、リサーチは限定された地域だけ行えばいいので、リサーチの手間が省けます。
しかも同じエリアに複数店舗展開しているので、店舗間で客層や環境の変化などを共有できるため、リサーチもしやすくなります。
知名度を上げて有名になる
販売エリアを限定することで、その土地での知名度を即座にあげることができます。知名度が上がると、その場所を利用する人は増えるので集客効果につながり、売り上げアップが期待できます。
有名なお店には、宣伝をしなくても人が入ってきますよね。
コーヒーショップでいうと「スターバックスコーヒー」は「スタバで待ち合わせね」といえば通じるくらい知名度があります。
全国的には知らなくても、店舗を展開している地域での知名度があれば、おのずと客は寄ってくるので、知名度の大事さを実感できることでしょう。
商戦エリアのナンバー1になれる
ドミナント戦略によって、商戦エリアでの認知度が十分に高まったら、そのエリアでの1位の座を獲得できるでしょう。エリアで1位を獲得できれば、このエリアを訪れた人は必ず店舗に足を運んでくれることでしょう。
もしさらに展開するなら、このエリアの独占市場を目指してもいいかもしれません。
「ここに来ればあの店がある」と来店目的に訪れてくれる人ができれば大したもんです。
まとめ
ランチェスター戦略のドミナント戦略、いかがでしたでしょうか?
中小企業でも、ドミナント戦略を活用して大企業に劣らないサービスを提供することができるんです。
どんな小さな市場でも、1位を獲得すれば知名度も集客率も上がります。さらには独占市場を狙って展開することもできるんです。
中小企業ならではのアイデアで更なる発展を期待しています。